産業廃棄物収集運搬業許可の取得方法についての全まとめ

「許可」が必要なケースと「許可不要」の範囲

「他人の委託を受けて産業廃棄物を処理する者」はそのための「許可」を取得しなければなりません。
ではどういった場合に「許可」が必要で、どのような場合に「許可不要」となるのでしょうか。

産業廃棄物収集運搬が必要になる事業

許可が必要になる事業というのは存在しません。どういうことかというと、事業によって「許可」が必要になるのではなく、冒頭で申し上げたように「他人の委託を受けて産業廃棄物を処理(収集・運搬や処分)する者」に「許可」が必要になります。
つまり、どのような業種であったとしても「他人の委託を受けて産業廃棄物を処理」するのであれば「許可」が必要になるということです。


また、製造業や建設業当の営利事業だけではなく、学校、病院等の公共的事業も「事業」に含まれます。


自社運搬・委託の違いと運搬許可不要に該当するケース

「自社運搬」とは文字通り、産業廃棄物の処理を他人に委託せず、自ら行う事です。
「委託」とは産業廃棄物の収集・運搬処理を他人にまかせることです。
前者の場合には許可が「不要」ですが、後者の場合には許可が「必要」となります。


産業廃棄物収集運搬業許可を取得する要件を解説

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するためには申請者が「要件」(許可基準)を満たしていなければなりません。
「要件」は大きく「欠格要件」と「申請者の能力」の二つです。


申請者が確認したい欠格要件と法人・個人で異なる注意点

欠格要件とは、申請者の一般的適性について、法に従った適正な事業の遂行を期待しえない者を類型化して排除することを趣旨としており、廃棄物処理法において規定されています。
下記が「欠格要件」で該当してしまうと「許可」を受ける事ができません。

  • 精神の機能の障害により、廃棄物の処理の業務を適切に行うにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行う事ができない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 廃棄物処理法、浄化槽法その他環境保全法令に違反し、若しくは暴力団対策法に違反し、又は刑法、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 廃棄物処理法又は浄化槽法で許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
  • 廃棄物処理法又は浄化槽法の許可取消しの聴聞通知があった日から、その処分を決定するまでの間に事業の廃止届をし、5年を経過しない者
  • 廃棄物の処理の業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者等


車両・運搬容器・積替え保管なしの基準

車両、運搬容器は取り扱う産業廃棄物に適した物が必要です。
「積替え保管」というのは、排出場と処分場以外に一時的に保管する場所の事を言い、この場所がある場合には「積替え保管あり」ない場合には「積替え保管なし」の許可となります。ただし「積替え保管あり」の許可は産業廃棄物を保管施設を加味した許可であるため、許可のハードルがグンとあがります。
自治体によっては、許可行政庁との事前協議や地域住民への説明会が必要になる場合もあります。


講習の受講が必須?収集運搬許可講習会と修了証の扱い

申請者の産業廃棄物処理に関する「能力」の担保として、日本産業廃棄物処理振興センターが実施している「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を受講し、「修了証」を受ける事としています。
この「修了証」は許可申請時に写しを書類添付する必要があります。


産業廃棄物収集運搬業許可の取得方法と流れ

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するための各種手続きや流れについて解説いたします。

事前準備から許可申請までの手続きの全体像

産業廃棄物収集運搬業許可の申請をする事前準備として、自身の「要件」を充足しているかどうかの確認と「要件」を充足していないのであれば、解消のための行動をしなければなりません。
「要件」を満たしていない状態で申請したとしても許可されることはないからです。


「要件」がOKであれば、それらを証明するための書類集めや申請書の作成を行います。
ここまで来てようやく許可の申請を行います。
許可申請後も書類の不備や訂正等が窓口より補正の指示を受ける事になりますので適宜対応していきます。


講習会の予約・受講から修了証の交付までの流れ

「要件」の一つである「講習会」ですが、申請時にはこの「講習会」を修了したことを証明するための「修了証」が必要となります。講習会の申込〜修了証受領までの流れは以下の通りです。


  • STEP
    申込

    受講する講義、試験日時、会場を決定

  • STEP
    受講料支払

    3〜5万円程度

  • STEP
    受講

    オンライン、対面の2種類

  • STEP
    試験

    申込時に決定した会場で受験

  • STEP
    修了証受領

    試験日から約3週間後に発送


都道府県・政令市ごとの申請先、窓口・郵送・電子申請の違い

産業廃棄物収集運搬業の許可は「積む場所(排出場所)」と「卸す場所(処分場所)」の許可が必要です。
都道府県をまたぐ場合、例えば大阪→兵庫の場合には申請先は大阪府と兵庫県になりますが、積む場所も卸す場所も同一政令市内で完結する場合には、申請先は「政令市」となります。
事業の状況に応じて申請先が変わるため注意が必要です。


また、申請先によっては事前に予約が必要であったり、郵送対応可能であったり、電子申請が可能であったりするので、申請前によく確認しておく必要があります。
電子申請の場合、書類の提出の大半はWeb上で行いますが一部原本照合が必要な書類等については、郵送で送付を求められます。
肌感覚ですが、窓口申請と電子申請では窓口申請の方がスピーディだと思います。
電子申請の場合、Web上になってしまうのでどうしてもやり取りが遅れ気味になってしまいます。
このあたりを加味して、申請方法が複数ある場合には自信に最適な申請方法を選ぶとよいでしょう。

産業廃棄物収集運搬業許可申請に必要な書類

産業廃棄物収集運搬業許可申請は提出する申請書や添付書類で「要件」の審査等を行います。

申請書類・様式・証明書など入手が必要な基本書類

申請に必要な基本書類は以下の通りです。

  • 各種申請書
  • 講習会修了証の写し
  • 車両の写真
  • 運搬容器の写真
  • 自動車検査証記録事項
  • 住民票
  • 登記されていないことの証明書

各種申請書については許可行政庁のホームページからダウンロード可能です。
官公署が発行する証明書類については発行後3カ月以内ものが必要です。
現在は電子車検証が一般的ですので車検証ではなく「自動車検査証記録事項」の添付が必要になります。

法人で提出する書類と個人で必要な書類の違い

「法人」と「個人」では提出する書類に若干の違いがあります。
「法人」の場合には上記の基本書類に加えて、以下の書類が必要です。

「法人」の場合に追加で必要となる書類
  • 直近3年分の決算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)
  • 直近3年分の”法人税”確定申告書
  • 直近3年分の”法人税”納税証明書
  • 定款
  • 法人登記簿謄本
「個人」の場合に追加で必要となる書類
  • 直近3年分の”所得税”確定申告書
  • 直近3年分の”所得税”納税証明書
  • 資産に関する調書

車両関係、自動車検査証記録事項、事業計画、添付書類のチェックポイント

車両関係の写真は撮影方法に指定があります。「真正面」、「真横」の写真が必要で「登録番号」が鮮明でなければなりません。


「自動車検査証記録事項」の「使用者」は原則、申請者でなければなりません。
「使用者」が申請者でない場合には追加の書類を求めらます(運搬車両の貸借に関する証明書等)


事業計画は整合性が重要となります。
運搬する産業廃棄物に対して、車両や容器は適正か、運搬先(処分場)は運搬する産業廃棄物を処理できるのか、環境保全対策(飛散・流出防止処置が具体的に記載してあるか)、申請書記載の情報と添付書類の内容に違いはないか等です。

費用はいくらか?手数料・講習費用・行政書士報酬の目安

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、様々な費用発生を考慮する必要があります。

許可申請でかかる手数料と納付方法

産業廃棄物収集運搬業の新規許可を取得する際には申請手数料が8万1千円かかります。
これは自治体毎に発生します。
例えば大阪府と兵庫県でそれぞれ許可を主とする場合には2倍の金額16万2千円かかるということです。


納付方法は現金のみ、証紙のみ取り扱う自治体もあれば電子マネーで支払う事ができる自治体も存在します。
この点は許可申請をする自治体に事前に確認しておかなければなりません。


講習会の受講費用と更新時にかかる期間・コスト

講習会の受講費用は受講する費用は収集運搬する産業廃棄物が「普通産業廃棄物」か「特別管理産業廃棄物」か、また受講方法が「オンライン形式」か「対面形式」かによって異なってきますが3万円〜5万円程度になります。


産業廃棄物収集運搬業の許可は5年毎の更新制となっており、継続して事業を営む為には許可の更新をしなければなりません。
許可の更新の際にも「講習会の修了証」は必要となりますので、更新の期限の前には「講習会を修了」しておく必要があります。
更新時の費用は2万円程度になります。


自分で申請する場合と行政書士へ依頼する場合の費用比較

行政書士に頼みたいと思われる方もいらっしゃうと思います。
行政書士に依頼する場合には15万〜20万円が相場ではないでしょうか。
産業廃棄物収集運搬業許可の新規取得をする場合に自分で申請する場合と行政書士へ依頼する場合で費用を比較してみました。
(自治体一カ所、普通産業廃棄物収集運搬業を想定)

自分で申請する場合

81000(申請手数料)+30000(講習会費用)=111,000円

行政書士へ依頼する場合

81000+30000+150000=261,000円


当たり前ですが行政書士の報酬分だけ費用がかさみます。
金額だけ見れば確かにそうですが、時間のコスト(事前調査、書類収集、申請書作成、窓口対応、補正対応)を考えれば、そこまでのコストではありません。
申請先が複数の自治体になれば、その分申請のハードルは上がります。なぜなら自治体毎にローカルルールが存在するためです。
予約が必要であったり、書類が追加で必要であったり様々です。


自分で取得する方法と失敗しない準備のコツ

ご自身で取得をお考えの方もいらっしゃる事でしょう。そういった方の為にポイントをまとめました。ご参考になれば幸いです。

産業廃棄物収集運搬業許可申請を自分で進めるメリット・デメリット

自分で進めるメリットとしては、費用が安い点でしょう。また、行政書士等の専門家に頼む場合には、行政書士とやり取りをする必要があるのでそういった事がわずらわしいと思うかもしれません。


デメリットとしては、自身で勉強しなければならない点、時間がかかってしまう点でしょうか。
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は決して自分でできないものではありません。
ただし、ある程度の勉強は必要になります。
また、慣れていない分かなりの時間を要する事を覚悟しておきましょう。
書類一つを集めるにしても、わからない事が必ずでてきます。
そんな時は窓口に聞けばよいのですが、窓口は基本的に聞いたことにしか答えてくれません。こんな事をききたいのだろうと予想して先回り回答はしてくれません。
わからない事が分からない状態だと、なかなか先に進みません。
さらに、窓口は平日しか開いていませんので、平日に時間を取れない場合にはやはりかなり苦労することになるでしょう。

審査で見られやすいポイントと書類不備を防ぐ注意点

審査で見られやすいポイントはその書類から「要件」を満たしているかどうか確認できるかどうかという点だと思います。
ここは担当官による部分が大きかったりする場合もあるのですが、提出した書類で「要件」を確認できない場合には、説明しなければならなかったり、追加の書類を求められたりします。


慣れない申請手続きをする場合には、絶対にミスが起こります。我々専門家でも起こります。
予防策としては、書類がある程度準備できたら第3者の目でチェックしてもらうことです。申請書を作っている者は思い込みでミスを見逃していたりする場合があるので、この方法は効果的です。
あとは、自治体によっては提出書類のチェック表を用意してくれていることがあるのでそれを使うのも一つの手でしょう。


手引きの活用方法と担当窓口への事前確認すべき事項

「手引き」というのはこれから許可の申請をする方のために行政が用意した説明書みたいなものです。
この「手引き」通りに申請書と添付書類を集めて提出すれば許可されるといった便利なものです。
ただし、注意点があります。
「手引き」は確かにそれを見れば許可申請できる説明書ではあるのですが、ボリュームは相当程度あります。
また、専門用語も結構でてきます。
初めて見た時はギョッとするかもしれません。
読み進めているうちにわからないところも出てくると思います。そんな時遠慮せず担当窓口に聞きましょう。
ただし、前述したように聞いたことにしか答えてくれませんので、事前によく「手引き」を読み込んで置き、「わからない事がわからない」状態を解消しておきましょう。

許可取得後に必要な管理業務と変更・廃止の手続き

産業廃廃棄物収集運搬業の許可は取得すれば終わりではありません。許可取得後にもやらなければならない事が多くあります。

許可証の有効期限、更新、マニフェスト対応

許可の有効期限は5年です。引き続いて事業を営む場合には許可の「更新」をしなければなりません。
「更新」の手続きは許可証の有効期限の3カ月前からすることができます。「更新」の手続きをしなければ当然に許可は失効しますが、一つ注意点があります。それは「講習会」です。
「更新」手続きの時にも「講習会の修了証」は必要になるのですが、新規許可の時につかった「修了証」は使えません。「更新」手続きのための「講習会」を受けなければなりません。
許可証の有効期限が迫ってきてあわてて「講習会」を受講しようとしても、定員超過で受付が修了している事が多々ありますので、余裕を持って受けるようにしなければなりません。


排出事業者は排出した産業廃棄物が適正に処理されたかどうか確認する義務があるためマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行します。
収集運搬業者は産業廃棄物の引き受け時と引き渡し時にマニフェストを必ず使います。マニフェストの運用は排出事業者だけではなく処理業者にも課されていますので、控え等の保存期間は法定された期間まちがいなく保管しなければなりません。


変更届が必要になるケースと届出の期限

以下の項目に変更が生じた場合には「変更届」をしなければなりません。

  1. 住所、氏名または名称の変更
  2. 政令の使用人、法定代理人、役員、相談役・顧問、5/100以上の株主(出資者)
  3. 事務所および事業場の所在地
  4. 車両の変更

変更届は変更の日から10以内(法人の登記簿謄本の変更が必要なものは30日以内)にしなければなりません。


以下の場合には「変更届」ではなく「変更許可申請」となり、新規許可と同等以上の厳しい審査を受けなければなりません。

  • 取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合
  • 石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等の取り扱い

業務廃止・区域変更

事業の全部または一部を廃止した場合は、その廃止の日から10日以内に届出をしなければなりません。

一部の廃止とは、取り扱う産業廃棄物の減少、業種の縮小等をいいます

積み込む場所と取り卸す場所の区域が変更になる場合には、その区域を所管する自治体の許可を受けなければなりません。


品目・区域・自治体ごとの注意点

「品目」、「区域」、「自治体」にはそれぞれ注意点があります。

水銀・PCB・ばいじんなど特別な管理が必要な産業廃棄物

水銀、PCB、ばいじん等の一定の産業廃棄物は特に環境に与える影響が多い産業廃棄物として「特別管理産業廃棄物」と呼ばれます。
「普通産業廃棄物」よりも厳格な管理等が必要になります。収集運搬のおいても同様で、車両や容器も適切なものを使用しなければなりません。
また、「特別管理産業廃棄物」とそれ以外の「普通産業廃棄物」を取り扱う場合には、それぞれの「許可」が必要になります。
例えば収集運搬で双方の産業廃棄物をあつかうのであれば「普通産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の2つの許可が必要になるということです。


都道府県ごとに異なる手引きと各自治体毎の確認のポイント

「手引き」は許可申請の際の取り扱い説明書というのはお伝えした通りですが、自治体によっては手引きが無い場合もあります。また、自治体毎のローカルが存在しますので、どこも一緒だろと高を括らずに、しっかりと内容を確認するようにしてください。
意気揚々と申請に向かって、出直しとなった場合には目も当てられません。

積替え・保管、処分業との違い、許可区域の考え方

積替え保管というのは、一時的に産業廃棄物を保管するということです。
処分業というのは文字通り、中間処理業、最終処分業の事です。
積替え保管は収集運搬業許可の一種です。
処分業は収集・運搬とは別の許可になります。
積替え保管、処分業とも環境への影響、施設近隣住民への影響が大変大きく、その分許可のハードルもかなり高いものになっています。


許可区域の考え方としては、積み込み場所(排出場所)と取り卸し場所(処分場等)それぞれの許可が必要となります。通過するだけの自治体の許可は不要となっています。


産業廃棄物収集運搬業許可の取得方法でよくある質問

産業廃棄物収集運搬業許可取得に関するよくある質問をご紹介します。

許可取得までどれくらいの期間がかかる?

許可行政庁へ申請してから許可が下りるまでの期間は約2カ月です。書類の不備や訂正等の補正があった場合にはその補正の期間は含まれません。
許可申請にあたっては事前の準備も必要になるのでトータル3カ月ほどかかります。

複数の都道府県で運搬する場合はどう申請する?

産業廃棄物収集・運搬業の許可は「積み込み場所(排出場所)」と「取り卸す場所(処分場等)」の許可が必要ですので、これらに該当する自治体の許可は全て必要となります。
積み込む場所だけで許可をとってもしょうがないので、新規で申請する場合には複数自治体に同時進行で許可申請をすることになるでしょう。

無許可で収集・運搬した場合のリスクと対策

廃棄物処理法では無許可営業に罰則を設けております。
罰則は大変重く、無許可営業を行った場合には「5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以上の罰金に処しまたは併科する」となっています。
対策としては、産業廃棄物収集運搬業の許可を取る事が必須ですがよくわからない場合には自治体に相談するか我々専門家(行政書士)に相談するとよいのではないでしょうか。


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